味噌汁のだしは何を使う?種類や地域ごとの特徴や簡単に取る方法を紹介
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味噌汁は、魚や野菜などさまざまな具材を使い、それぞれの素材の味を存分に生かした和食の定番として知られています。
「最初に作り方を覚えた和食は味噌汁だった」という方も多いと思いますが、味噌汁は具材と味噌だけでは、なんとなくぼんやりした味になってしまいます。
この味噌汁の味を決めるのに欠かせないのが「だし」です。
だしは、カツオや昆布からうま味を抽出した料理のベースになるもので、素材の特徴を引き出す役割があり、種類によって地域ならではの味噌汁の味を作っています。
この記事では、鰹節専門店のにんべんがだしの種類や地域ごとに使われるだしの特徴、味噌汁のためのおいしいだしを簡単に取る方法も紹介します。ぜひご一読ください。
目次
味噌汁のだしは何を使う?種類を紹介
味噌汁に使われるだしは、それぞれ地域や味噌汁の具材によって使い分けられ、地域ごとに特色のある味噌汁が作られています。
主なものは次の4種類です。
- 鰹節だし
- 昆布だし
- 鰹節と昆布の合わせだし
- 煮干しだし
順に解説します。
鰹節だし
鰹節のだしは、昆布だしとともに和食で非常に多く使われるだしのひとつです。
鰹を煮てから焙乾を繰り返して水分を26%程度まで乾燥させたものを「荒節」と呼びます。
市場に出回る80%以上の鰹節は荒節で、香りの強さと魚っぽさが残っているパンチのある味のだしが短時間で取れます。
鰹節には、枯節や本枯節という種類もあります。枯節や本枯節は荒節に「カビ付け」と言われる作業を繰り返して完成させたもので、風味豊かで芳醇なだしが取れます。
イノシン酸といううま味成分を豊富に含み、次に紹介する昆布だしや、干しシイタケから抽出しただしなどとともに「合わせだし」として用いられることもあります。
昆布だし
昆布だしは昆布から抽出しただしのことで、室町時代に北海道から日本海を通って北陸に運ばれ、さらに陸路を使って琵琶湖の水運を利用し、京都に運ばれました。
この航路は、現在は「昆布ロード」と呼ばれています。
精進料理が発達していた京都など近畿地方では、動物由来の鰹節だしは使用を控えられる傾向があり、昆布を運んできた船が寄港した日本海沿岸から広がりました。
さらに、江戸時代、船は関門海峡や瀬戸内海を経由して大阪まで運ばれるようになり、現在でも近畿地方で使われるだしは昆布だしが中心です。
グルタミン酸を主成分とする上品で控えめなうま味は、味噌汁や精進料理の他、おでん、鍋物、うどんのだしとしても使われています。
鰹節と昆布の合わせだし
合わせだしとは、複数の食品から取っただしのことをいいますが、一般的には鰹節だしと昆布だしを合わせて使うだしのことです。
鰹節だしのうま味成分である動物性のイノシン酸と、アミノ酸の一種である昆布だしのグルタミン酸は相性がよく、合わせて使うと「うま味の相乗効果」が期待できます。
うま味成分は、2つのだしを合わせることでよりうま味の強いだしになり、料理がさらにおいしくなります。
煮干しだし
煮干しだしは、小魚を海水で煮てから乾燥させた煮干しから取れるだしで、イワシ煮干しが多く、他にもトビウオを使うアゴ煮干しや、アジ、サバ、サンマなどが使われます。
江戸時代、だしの材料として鰹節や昆布は高級品だったため、代用で安価なイリコが使われたのが始まりといわれています。
煮干しだしは、黒潮に乗ってイワシが押し寄せる九州・四国の沿岸地方から、中国地方や北陸地方にも広がっていきました。
味噌汁のだしの地域ごとの特徴
味噌汁は家庭ごとに味が違いますが、地域の特産品や多く使われるだしによって全く変わってきます。各地域ごとに、味噌汁に使われるだしの特徴を解説します。
- 北海道地方
- 東北地方
- 関東地方
- 中部地方
- 近畿地方
- 中国地方
- 四国地方
- 九州地方
ぜひ参考にしてください。
北海道地方
海に囲まれた広い大地を擁する北海道では、鮭を使った石狩汁やカニ汁など、海産物がたっぷり入った具沢山の味噌汁が多いです。
北海道で使われるだしは、鰹節や昆布、煮干しだしですが、なかでも昆布だしが多く使われています。
東北地方
東北の汁物といえば「芋煮」を思い浮かべる方も多いと思いますが、「芋の子汁」といわれる里芋の味噌汁も東北の定番です。
使われるだしは煮干しだしが多く、サバの煮干しだしもよく使われます。
また秋田や山形でよく食べられる「納豆汁」には、昆布だしを使うことが多いようです。
関東地方
関東地方で味噌汁に使うだしは鰹節が中心で、煮干しだしも使われることがあります。
また昆布との合わせだしは、お吸い物やおでんに使われています。
中部地方
中部地方は、味噌カツや味噌おでんなどに代表される、味噌を使った名物料理が多い地域です。
名古屋の八丁味噌や信州の味噌など、味噌の種類も豊富です。使われるだしはサバ節、ムロアジ節など、コクの強い煮干しだしが多く使われています。
近畿地方
近畿地方では昆布だしが使われることが多く、鰹節だしや煮干しだしは、昆布だしを中心とした合わせだしの材料として使われています。
京料理など、薄口しょう油で素材の味を活かした料理が好まれるため、だしもあっさりとした繊細な味わいに仕上げることが多いです。
中国地方
中国地方は鰹節の需要が少ない地域で、味噌汁には焼きアゴなど、煮干しだしを用いています。魚のだしならではの濃厚でしっかりした味わいになります。
しじみの産地である島根県のしじみ汁や、広島県の特産品である牡蠣を使った味噌汁など、具材に海産物を使った味噌汁がよく作られています。
四国地方
四国地方は、愛媛の麦味噌や香川の白味噌を使った味噌汁が親しまれており、イリコなどの煮干しから取るだしがよく使われます。
家庭でも雑煮や煮物を作るときは、煮干しから時間をかけてだしを取るなど、しっかりとした味の和食が作られています。
九州地方
九州地方は海に囲まれた地域ということもあり、イリコやあごなどの煮干しだしや鰹節だしが一般的です。
米味噌や麦味噌が多く使われ、鹿児島のさつま汁や大分のだんご汁など、具沢山で薬味もたっぷり入った濃い目の味付けが多いです。
なお、沖縄県は鰹節の消費量が全国1位となっています。
味噌汁におすすめなのは鰹節を使っただし
鰹節は、だしを取って味噌汁に入れるだけでなく、おにぎりに混ぜ込んだり、ひと味足りないときに塩の代わりに入れたりと、さまざまな使い方ができます。
普段の味噌汁は昆布だしが中心の家庭でも、鰹節だしを一緒に使うことでさまざまなメリットがあります。
鰹節だしが味噌汁におすすめの理由は、次の3つです。
- うま味の相乗効果を期待できる
- 栄養素が豊富
- 減塩効果も期待できる
では、順番に解説します。
うま味の相乗効果を期待できる
「うま味の相乗効果」とは、すでにお伝えしたとおり、複数の食品の「うま味」を合わせて使うことでより強いうま味になることを狙うものです。
うま味の相乗効果を活用している例としては、鰹節と昆布を使った合わせだしの他にも、世界各地の料理で活用されています。
- キャベツと豚肉を合わせた餃子
- 魚介類と野菜を合わせたパエリア
- 牛肉と野菜を合わせたポトフ
これらは、うま味の相乗効果を狙った料理の一例です。
鰹節だしを多く入れてもうま味は増えません。しかし、鰹節のうま味成分「イノシン酸」と昆布のうま味成分「グルタミン酸」を組み合わせることで、相乗効果が得られより味噌汁に合うだしを作り出せます。
栄養素が豊富
実は、鰹節は高タンパクで必須アミノ酸が豊富な食品です。
鰹節は、生のカツオを何度も燻(いぶ)してできる発酵食品で、味噌やヨーグルト、納豆などのようにさまざまな栄養素にあふれた食品なのです。
鰹節に含まれている栄養素は、次のようなものです。
- タンパク質
- カリウム
- マグネシウム
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンD
肉や野菜を何種類も食べないと摂れないタンパク質やビタミンが、鰹節には豊富に含まれています。
さらに鰹節には、体内で生成できず食品からしか摂ることのできない「必須アミノ酸」が9種類も含まれています。
同じ発酵食品の納豆やヨーグルトを食べるのもいいですが、鰹節でだしを取った味噌汁でも、これらの栄養素を摂ることができます。
減塩効果も期待できる
だしをしっかり利かせると、うま味成分が塩味を引き立ててくれます。
つまり味噌汁を作る際に鰹節だしを多く使うことで、味噌などの塩分量を減らしても、コクを感じるおいしい味噌汁を作ることができます。
日本は食塩摂取量が比較的多い国です。塩分の摂り過ぎが体によくないことはいうまでもありませんが、鰹節だしを多く使うことでおいしく減塩できるのはうれしいですね。
味噌汁のだしを簡単においしく取る方法
では、家庭で鰹節だしを取る一般的な方法について、最初に解説します。
だしの材料は、水の量に対して3%です。1リットルの水ならば30gの鰹節を用意します。鰹節は「花かつお」と呼ばれる薄削りのものを使いましょう。
だしの取り方は、次のような手順になります。
- ざるとキッチンペーパーなど、鰹節をこせる道具を用意する。
- 鍋に水を入れ、沸騰したら火を止める。
- 鰹節を入れて、1~2分間おく。
- ボウルにざるを重ね、ざるにキッチンペーパー(または布)をしいて鰹節をゆっくりこす。1分間おいて完成。
「もっと簡単にだしを取りたい」という人もいるでしょう。そこで、家庭で簡単にだしが取れる方法を紹介します。次の2通りです。
- だしポットを使う
- だしパックを使う
順に解説します。
だしポット
にんべんでは、電子レンジで温めるだけで本格的なだしが取れる「だしポット」を販売しています。
だしポットを使った一番だしの取り方は次の通りです。
■一番だしのひき方(お味噌汁 2~3人分)
1.だしポットにかつお節を18g入れる
2. 水600mlを入れる
3.電子レンジで7分加熱すると、550mlのだしがひけます
お水に対して3%のかつお節。これが、にんべんの黄金比率!
(引用元:電子レンジで手軽にひける“本格だし” 人気の「だしポット」がさらに使いやすい形・お求めやすい価格に! 日本橋だし場 「だしポット」 4 月 1 日リニューアル発売)
水を沸騰させたり、鰹節をこす必要がなく、誰でも電子レンジで簡単にだしが取れるため画期的です。
「だしがらを絞るとえぐみが気になる」という方でも、最後の1滴までこせるように、こし器が工夫されています。ぜひお試しください。
▶にんべんの「だしポット」はこちら
だしパック
だしを、つゆとしてだけではなく調味料としても使いたいという方ならば、「だしパック」がおすすめです。
にんべんの「薫る味だし かつお5袋入り」は、ひきたての本格だしの味と香りがそのまま個包装され、使う瞬間まで品質が保たれているので、安心して利用できます。
だしつゆとして使うときは、お湯400mlに1パック入れ、3分ほど煮出して取り出します。
塩の代わりとして味を足すならば、袋を開けて中身を出して使うこともできます。
▶にんべんの「薫る味だし かつお5袋入り」はこちら
まとめ:だしを手軽に取っておいしい味噌汁を飲みましょう
おいしい味噌汁を作りたいけれどだしを取るのが大変、と悩む方は多いと思います。
鰹節と昆布を使った合わせだしを使いたいけれど、どうやってだしを取ったらいいのか悩みますよね。
にんべんのだしポットなら、ポットに鰹節と水を入れて電子レンジで温めるだけで、簡単に本格的な鰹節だしを取れます。
朝からおいしい味噌汁を飲むとよい気持ちで1日を始められます。
ぜひ、にんべんの商品を使って、簡単においしい味噌汁を味わいましょう。