世界からみる日本のだしの魅力
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世界には私達が知らない伝統的な食、だしが存在し、多くの人々を魅了しています。
和食づくりに欠かせない日本のだしですが、その魅力を日本人である私達自身もまだまだ活かしきれていないかもしれません。
今回は世界のだし文化から考える、日本のだしの魅力についてお伝えしていきます。
日本とは異なる世界のだしの特徴
世界の「だし」には、どんな特徴・魅力があるのでしょうか?
フランス料理のだしの特徴
フランス料理の主なだしの原料は、肉、魚、野菜です。素材の風味を強調するため、素材そのものから「だし」をとっていることが特徴です。
【フランス料理で使われるだしの種類】
フランス料理の中でも、代表的なだしは2つ。肉、魚、香味野菜を長時間煮込んで作ります。ポタージュやコンソメのベースとなる「ブイヨン(スープストック)」とソースのベースとなる「フォン」です。
それぞれの代表的なフランス料理のだしを紹介します。
・ブイヨン・ド・ボライユ(鶏がらのスープストック)
・ブイヨン・ド・レギューム(野菜のスープストック)
・フォン・ド・ボー
中国料理のだしの特徴
中国料理の主なだしの原料は、フランス料理同様、肉、魚、野菜など多岐に渡ります。複数の材料を組み合わせただしをとるのが特徴です。
【中国料理で使われるだしの種類】
中国料理ではだしのことを「湯(タン)」と呼びます。中国は国土が広いため、各地域で様々なだしが誕生してきました。代表的な中国料理のだしを紹介します。
・鶏湯(ジータン)
・排骨湯(パイクウタン)
・乾貝湯(ガンベイタン)
世界には他にも様々な種類のだしがあります。国は違えど、だしを大切にする食文化が各国に根付いているのです。
日本のだしの特徴と魅力
日本の代表的なだしの種類
日本のだしの主な原料はかつおぶし、昆布、きのこ類、煮干しなどです。こってり感がなくあっさりした仕上がりで、上品な香りを作り出すのが特徴です。だしの原料によっては、できるまでに半年~2年かかるものもあります。
それぞれのだしの原料が、私達の食卓にあがる食事に色を付けているのです。
・かつお節だし
豊かな風味と上品な香りが特徴です。どんな料理にも合う万能さがあります。お味噌汁やすまし汁、うどんやそばのつゆなどにピッタリです。
・昆布だし
食材の味や香りを活かすことができます。素材の風味を損なわないために使われることが多いのが特徴です。料理では、炊き込みご飯やチャーハン、煮物、出し巻き卵などがおすすめです。
・煮干しだし
小魚を煮て干したものからとるだしです。煮干し特有の香りと味を残すため、シンプルな製造過程で作られます。味噌との相性が良いため、味噌汁がおすすめです。
世界も認める日本のだしの「UMAMI」
和食は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されるほど、世界で注目される日本の伝統そのものです。そんな和食の味を決定づける重要な要素、それがだしなのです。和食が世界へ広がるのと同時に、「UMAMI」という日本発の言葉が国際語として普及し始めました。
UMAMIの起源は、1908年。日本人科学者の池田菊苗博士が、昆布だし汁の中の主要な成分として、グルタミン酸を発見。それを「うま味」と名づけました。
その後、現在の日本の代表的なだしの原料から、イノシン酸、グニアル酸といったうま味成分を次々発見。
うま味は、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」に続く第五の味覚として認定されることになったのです。
日本のだし作りは、このうま味成分がベースとなっています。うま味は、世界的にも注目され、世界の食文化にも影響を与えています。
食のグローバル化が顕著な現代において、和食、日本のだしの位置づけは非常に重要なものとなっているのです。