発酵食品の種類一覧!メリットや期待できる効果や食べ方のポイントを紹介
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「発酵食品にはどんな種類があるの?」
「発酵食品を食べると体に何かいいことあるの?」
と思っている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、江戸時代から和食を支えてきた鰹節専門店のにんべんが、発酵食品の種類や期待できる効果についてお伝えします。
また、発酵食品の食べ方のポイントもお伝えします。
発酵食品に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
発酵食品とは?
「発酵食品」という言葉はよく聞きますが、具体的にどのような食品なのでしょうか?
はじめに以下の2つをお伝えします。
- 発酵食品の定義
- 発酵食品ができる仕組み
ぜひ参考にしてください。
発酵食品の定義
発酵食品とは微生物の働きによって作られた食品です。
微生物の働きは、大きく二つに分けられます。
発酵 | 人間によって有益な働き |
---|---|
腐敗 | 人間にとって有害な働き |
つまり、人間にとって有益か有害かで、「発酵」と「腐敗」に分けているわけです。
例えば、発酵した食品(味噌やチーズなど)はおいしく食べられます。しかし、腐敗してしまうと肉や魚は食べられなくなってしまいます。
発酵食品ができる仕組み
発酵食品は微生物が食品(有機物)を分解して、別の物質にすることでできあがります。発酵させることで、味が向上すると言われています。
発酵に関わる微生物は、あとの章で詳しくお伝えします。
なお、世界初の発酵食品はヨーグルトであり、紀元前5000年から食べられていたと言われています。そのため、発酵食品には7000年もの歴史があるようです。
参考元:齋藤勝裕 (2019) 『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』 ベレ出版
発酵食品の種類一覧
「発酵食品にはどんな種類があるの?」と思っている人もいるでしょう。
そこで、食品の種類別に主な発酵食品の種類と特徴を解説します。
- 豆類
- 肉類
- 魚類
- 野菜類
- 乳製品類
- 酒類
- お茶類
- その他
数が多いので、興味がある部分だけでもお読みください。
豆類
豆類の発酵食品には、以下のものがあります。
- 味噌
- 醤油
- 納豆
- 豆板醤
味噌や醤油や納豆などは、日本食に欠かせない発酵食品です。
肉類
肉類の発酵食品には、次のものがあります。
- サラミ
- 生ハム
- ドライソーセージ
肉は発酵させることで、保存食として利用しやすくなります。
魚類
魚類の発酵食品は、次のものです。
- アンチョビ
- 魚醤
- 塩辛
- くさや
肉と同じく魚も発酵させることで、保存食にしやすくなります。
野菜類
野菜類の発酵食品には、以下のものがあります。
- キムチ
- いぶりがっこ
- メンマ
- ぬか漬け
- 生しば漬け
- ピクルス
野菜の発酵食品は、世界中にあります。西洋のピクルス、韓国のキムチ、日本ではおなじみのぬか漬け。なお、漬物は塩分が多いとされているので、摂り過ぎには注意が必要です。
乳製品類
乳製品類の発酵食品として、代表的なのは次のとおりです。
- チーズ
- ヨーグルト
- サワークリーム
- ケフィア
「発酵食品」と聞けば、チーズやヨーグルトを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
酒類
酒類の発酵食品には、以下のものがあります。
- ワイン
- ビール
- 米から作るお酒(日本酒、甘酒、焼酎)
微生物が糖をアルコールと二酸化炭素に分解することで、アルコールができます。
ワインはブドウ、ビールは麦を発酵させます。米からは日本酒、甘酒、焼酎を造ることが可能です。
お茶類
意外に思うかもしれませんが、お茶類の中にも発酵食品に分類されるものがあります。
- 烏龍茶
- 紅茶
- 碁石茶
これらのお茶は、茶葉を発酵させて作ります。
その他
その他の発酵食品には、以下の物があります。
- みりん
- 黒酢
- 米酢
- くずもち
- ナタデココ
- チョコレート
- パン
みりん、黒酢、米酢など米から作られた発酵食品は和食で使われることが多いです。
くずもちは小麦粉を乳酸菌で、ナタデココはココナッツの果汁を酢酸菌で発酵させて作ります。
チョコレートはカカオを発酵させることでできあがりです。パンは小麦に麹菌を使って発酵させます。
食品発酵を作る微生物の3種類
食品発酵を作る微生物は次の3種類に分類できます。どれも大きさは10マイクロメートル以下なので、目には見えない小ささです。
- カビ
- 細菌
- 酵母
それぞれ解説していきます。
参考元:小泉武夫 (監修), 金内誠 (監修), 舘野真知子 (監修) ( 2013) 『すべてがわかる! 「発酵食品」事典』 世界文化社
カビ
カビは糸状の細胞の微生物です。「菌糸」という糸状の細胞を伸ばして広がります。多くのカビは人体に有害ですが、コウジカビ(麹菌)やアオカビなど人体に無害のカビもあります。
細菌の種類とできあがる発酵食品は、次のとおりです。
コウジカビ(麹菌) | 味噌、醤油、 |
---|---|
アオカビ | ブルーチーズ |
カビはでんぷんを糖に変えるため、食品に甘みを出すことができます。
細菌
細菌は単細胞の微生物です。細胞分裂をして増えていきます。細菌とできあがる発酵食品には、以下のような種類があります。
種類 | できあがる発酵食品 |
---|---|
乳酸菌 | ヨーグルト、キムチ |
酢酸菌 | 酢、ナタデココ |
納豆菌 | 納豆 |
乳酸菌は発酵の過程で、乳酸を生成します。乳酸が増えることで、食品が酸性になり雑菌が増えにくくなるとされています。
酵母
酵母も単細胞の微生物です。
酵母は、糖からアルコールと二酸化炭素を作ります。出芽することで増えていき、アルコールを造るときに活躍します。
酵母の種類とできあがる発酵食品は、次のとおりです。
種類 | できあがる発酵食品 |
---|---|
ビール酵母 | ビール |
清酒酵母 | 日本酒 |
ワイン酵母 | ワイン |
イースト菌 | パン |
「体によい」と言われる発酵食品ですが、アルコールの飲み過ぎには注意してください。
発酵食品のメリットや期待できる効果
「発酵食品を食べると、何かメリットがあるの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。
この章では、発酵食品のメリットと食べると期待できる効果を紹介します。
- うま味が増す
- 保存性が高まる
- 免疫力の向上
- 腸内環境を整える
- 脂肪の分解
- コレステロールの調整
- 肌荒れの改善
- アレルギーの抑制
- ストレス緩和
ぜひ参考にしてください。
うま味が増す
発酵させることで食品のうま味が増すと考えられています。
例えば、味噌は発酵することで麴菌の働きによってたんぱく質が分解され、うまみ成分であるグルタミン酸が増加します。
参考元:山梨県厚生連健康管理センター
保存性が高まる
発酵させることで、腐敗が起こりにくくなり、保存性が高まります。
例を挙げると、牛乳はそのままでは数日で腐敗しますが、発酵させてチーズにすることで、保存食として使えるようになります。
参考元:小泉武夫 (監修), 金内誠 (監修), 舘野真知子 (監修) (2013) 『すべてがわかる! 「発酵食品」事典』 世界文化社
参考元:山梨県厚生連健康管理センター
免疫力の向上
発酵食品は免疫細胞を活性化させると言われています。免疫細胞の多くは腸の粘膜にいるためです。
特に、乳酸菌は免疫関連疾患に改善効果があると考えています。そのため、醤油や味噌など乳酸菌を含む発酵食品を摂ることがおすすめです。
参考元:乳酸菌の免疫調節効果に関する研究
腸内環境を整える
乳酸菌や納豆菌を含む発酵食品なら、腸内環境を整えると考えられています。
「ヨーグルトを食べると腸にいい」と言われるのは、ヨーグルトが乳酸菌を含むからでしょう。
参考元:山元正博 (2022) 『発酵食品はおいしいクスリ』 ポプラ社
参考元:山梨県厚生連健康管理センター
脂肪の分解
味噌や醤油を作る麹菌のリパーゼにふくまれるアミノ酸は脂肪分解酵素を活性化させて、脂肪の分解を促すと言われています。
コレステロールの調整
コレステロールの上昇を抑えたり、悪玉コレステロールの除去をしたりすると言われています。
コレステロールが気になる人は、日々の食事に発酵食品を加えてみましょう。
参考元:山元正博 (2022) 『発酵食品はおいしいクスリ』 ポプラ社
肌荒れの改善
乳酸菌を含む発酵食品を摂取することで腸内環境が整えられ、肌荒れも改善する可能性があると言われています。
美肌を目指したい人は、発酵食品を食べるとよいでしょう。
参考元:なべひろ (2022) 『めんどくさがりでも手軽に作れる発酵食』 しろやぎ出版
アレルギーの抑制
発酵食品を食べることで、乳酸菌の作用でアレルギーの抑制も期待できるとされています。
アレルギーがある人は、発酵食品を試すのも選択肢のひとつです。
参考元:山元正博 (2022) 『発酵食品はおいしいクスリ』 ポプラ社
参考元:後藤利夫 (2017) 『乳酸菌がすべてを解決する』 アスコム
ストレス緩和
ストレスの緩和にもよい影響があると言われています。
これは発酵食品に含まれるGABAの効果や腸内細菌の影響と考えられています。
参考元:こころとからだの免疫学
発酵食品の効果的な食べ方のポイント
発酵食品の効果的な食べ方のポイントをお伝えします。
- 食物繊維も一緒に食べる
- 加熱を避けて食べる
- 発酵食品同士を一緒に食べる
- 量に気を付けて食べる
- できれば毎日継続して食べる
それぞれ解説していきます。
食物繊維も一緒に食べる
食物繊維は、発酵食品に含まれる善玉菌のエサになるので、食物繊維と一緒に食べることがおすすめです。
加熱を避けて食べる
微生物は加熱すると大半は死滅するとされているので、生で食べることをおすすめします。
例えば、キムチやチーズなどは加熱を避けて、できるだけ生で食べましょう。
発酵食品同士を一緒に食べる
複数の発酵食品を食べることでより効果を期待できます。 例えば、納豆とキムチを一緒に食べることで、納豆菌と乳酸菌を同時に摂れるので、より整腸作用が見込まれます。
量に気を付けて食べる
発酵食品が体によいとされていても食べすぎには注意が必要です。 特にチーズや漬物は塩分が多く含まれていることが多いです。塩分を過剰に摂取すると血圧や腎機能に影響が出る恐れがあるため、小皿で少量食べるようにしましょう。
できれば毎日継続して食べる
菌が腸内で活動できるのは、3~4日程度とされています。そのため、継続して食べることをおすすめします。
次の章で紹介する発酵食品を選べば、毎日食べやすくなります。
毎日食べやすいおすすめの発酵食品
「発酵食品を食べるときのポイントは分かったけど、毎日食べるのは難しそう」と思っている人もいるでしょう。
そこで毎日でも食べやすい、発酵食品を使ったレシピを紹介します。
気になるレシピがあれば、ぜひ試してみてください。
納豆チーズだし巻き卵
納豆チーズだし巻き卵はフードコーディネーター/タイ料理研究家の両角舞氏が考案したレシピです。毎日のおかずとしてだけではなく、お酒のおつまみとしてもオススメです。
用意するもの(2人分)
- 卵 3個
- ピザチーズ 15g
- 納豆 1パック
- めんつゆ 小さじ2
- 油 適量
作り方
- 卵は溶きほぐしピザチーズと納豆、めんつゆを入れてよく混ぜる。
- 卵焼き器に油を熱し、余分な油をキッチンペーパーで拭き取り1の卵液を1/4ほど入れて混ぜながら火を通す。半熟になったら手前に向かって巻き、巻いた卵を奥に寄せる。
- 再度卵焼き器に油を塗り、卵液の1/3量を流し入れ巻いた卵の下まで流す。火が通ってきたら手前に巻く。同様に2回繰り返す。
- 食べやすく切る。
味噌玉で簡単お味噌汁 味噌玉10個分
味噌玉を作り置きしておくと便利です。色々な具材で作れば毎日飽きずにお味噌汁を楽しめます。
(考案:フードコーディネーター/タイ料理研究家 両角舞氏)
用意するもの(味噌玉10個分)
- 味噌(味噌玉1個につき大さじ1) 大さじ10
- お好みの具材(乾燥わかめ、焼き麩、干ししいたけ、刻み昆布、すりごま、あおさ、切り干し大根、桜エビ、とろろ昆布など)
- だし(味噌玉1個につき) 200ml
作り方
- 味噌を大さじ1ずつラップで球状に丸める。
- お好みの具材をまぶしつける。
- だしを注ぐ。
※金色の鰹だし(顆粒)大さじ2を味噌と一緒に丸めれば、出先などでだしが無くてもお湯を注ぐだけでお味噌汁ができます。
かつおバターおにぎり
かつおバターおにぎりは、バターと醤油の香りとコクに、鰹節の旨みが染み込んだおにぎりはやみつきになる美味しさです。混ぜて握るだけなので、朝ごはんやお弁当にもぴったりです。
用意するもの(2個分)
- ご飯 茶碗2杯
- (A)削り節 10g
- (A)バター 大さじ1/2
- (A)しょうゆ 小さじ1/2
作り方
- ボウルにご飯を入れて(A)を加え、ざっくり混ぜる。
- 1を2等分し、好きな形のおにぎりにする。
まとめ:おいしい発酵食品を味わいましょう
生活の中で、おいしい発酵食品を味わいましょう。
前述のとおり、発酵食品のメリットと食べると期待できる効果には、以下のものがあります。
- うま味が増す
- 保存性が高まる
- 免疫力の向上
- 腸内環境を整える
- 脂肪の分解
- コレステロールの調整
- 肌荒れの改善
- アレルギーの抑制
- ストレス緩和
また、発酵食品を食べる際は、効果的な食べ方のポイントを押さえましょう。
- 食物繊維も一緒に食べる
- 加熱を避けて食べる
- 発酵食品同士を一緒に食べる
- 量に気を付けて食べる
- できれば毎日継続して食べる
「ポイントが多くて難しそう」「毎日続けるのが大変そう」と思う人は、キムチや納豆などそのまま食べられるものから始めてみましょう。