和風だしはなぜ簡単に取れるの?美味しいだしの裏側とは
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鰹節と昆布の生産工程が美味しさを生み出す
また、中華料理でよく使われる鶏がらスープは、長ネギの青い部分と鶏がら、ニンニクを鍋で3時間ほど煮込んで作ります。こちらも途中でアクを取り除く必要があります。
それに比べて日本のだしは、昆布だしが約1時間、鰹節だしは数分と比較的短時間で取ることができます。また、外国のだしはアクが強いのに対し、日本のだしはアクを取り除く必要がありません。日本のだしは透き通っていて旨みが強いというのが特徴といえるでしょう。
それではここで、日本のだしの代表ともいえる、昆布だしと鰹節だしの取り方を紹介したいと思います。
・昆布だしの取り方
昆布だしはお湯で抽出する方法と、水から抽出する方法があります。
お湯だし
昆布の表面を固く絞った濡れ布巾で拭いて、鍋に30〜1時間入れておき中火にかけます。沸騰直前で昆布を取り出して完成です。水1Lに対して昆布は10gが目安となっています。
水だし
昆布の表面を拭いて汚れを落とします。お茶ポットのように、密閉容器に水と昆布を入れて約10時間つけておき、昆布を取り出して完成です。水1Lに対して昆布は20gが目安です。
・鰹節だしの取り方
鍋に水を入れて沸騰させ、火を止めてから削り節を入れます。削り節が鍋底に沈むまで1〜2分ほど放置し、布巾などでだしを濾して完成です。水1Lに対して削り節は30gが目安となっています。
・合わせだしの取り方
汚れを落とした昆布と水を鍋に入れて30分から1時間おきます。加熱し、鍋底から小さな気泡が出てきたら火を止め(約80℃)、昆布を取り出します。再加熱し、沸騰後火を止め、かつお削りぶしを入れて2分間おき、布巾などで濾して完成です。水1Lに対し、昆布は10g、かつお削りぶしは20gが目安となっています。
どの方法も、昆布や鰹節を入れたり引き上げたりするタイミングだけ気を付けていれば誰でも簡単にできますね。このように短時間で上質のだしが取れる理由には、素材の良さにあるといえるでしょう。
鰹節と昆布の旨みを出すために
・だし昆布の製造工程
1.収穫
1年目の昆布は枯れてしまいますが、そのあと成長した2年目の昆布を収穫します。1年目の昆布に比べ厚く大きな昆布になり、味も良い昆布になります。特殊な器具を使った方法で収穫されます。
2.乾燥
水揚げされた昆布は小石を敷いた浜の上で天日干しします。昆布の厚さによって、すぐに乾くものもあれば数日を要するものもあります。
3.出荷
乾燥させた昆布は、長さを切り揃えてから出荷されます。また、蔵などで熟成させてから出荷することもあり、この作業をあんじょうと呼びます。こうすることで味がまろやかになり、昆布の色艶もよくなります。
・鰹節の製造工程
1.水揚げ、生切り
鰹を水揚げし、頭と内臓を取り除いて3枚おろしにします。さらに背側と腹側に分けて切るので、1つの鰹からとれる切り身は4つになります。その後、専用のカゴに並べて、形などの状態をチェックします。
2.煮熟
75~98度の湯で60~90分ほど煮ます。煮崩れを防ぎ、ゆっくりと時間をかけて煮熟させることが大切です。その後、皮や骨、ウロコ、皮下脂肪などの不要な部分を取り除きます。
3.焙乾
何度も燻しを繰り返して、柔らかい身の水分を抜いて固く仕上げます。何度も焙乾を繰り返し、焙乾は多いもので15回ほど繰り返されます。
4.削り、カビ付
カビが付着しやすいように、表面のタール分や滲み出た脂肪分などを削り落とします。その後、カビを付けて室で貯蔵するという作業を行い、天日干しをしてはカビを払いおとすという作業を3~6回ほど繰り返します。
鰹節の完成までには120日間ほどかかります。長い期間をかけて熟成されている昆布や鰹節は自然の旨みがたっぷりです。透き通ったような旨みは、自然の賜物であることは確かですが、こうして長い時間と職人が手をかけてこそ生まれるものだといえるでしょう。
まとめ
執筆監修者:片村優美
大学卒業後、管理栄養士免許取得。
2つの病院に勤務し、糖尿病や高血圧、腎臓病などの様々な疾患で悩まれる患者様に対して栄養指導などを行ってきました。
現在は、レシピ開発や健康・ダイエットに関するコラム執筆などのお仕事を行っています。