「日本人で良かった!」と思える日本の水とだしの関係性
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日本の水はだしを取るのに最適な水
一方で、海外では蛇口をひねると濁った水が出てくる国もあります。海外では日本のように浄水システムが整備されていない地域がたくさんあるのです。このような水はだしをとることに適していません。
さらに、日本の水はカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が少ない軟水なので、まろやかで飲みやすいというのも特徴の一つでしょう。一方で、海外の水はミネラルを多く含む硬水が多くなっています。硬度が高いと水が美味しくないというだけではなく、石鹸の泡たちが悪い、髪を洗うとバリバリになるなど、食に関すること以外にも支障が出てくることがあるのです。
日本の水のような軟水は、野菜や鰹節からとるだしに向いており、外国に多く見られる硬水は、牛肉などのアクの強い食材からとるだしに適しています。料理人によっては、水の質によって料理の仕上がりが異なるとの見方がされており、料理の目的によって軟水か硬水かを使い分けることもあるそうです。
日本でも地域によってはペットボトルの水や家庭用のウォーターサーバーを使用することがあります。水質というものは体にとって大切な部分ですので、飲料用や調理用に使う水はしっかりと考えて選択をしていきましょう。
日本の文化であるだしの「うまみ」とは?
日本は海と山に囲まれた国ですので、さまざまな食材からだしをとることができるというのも一つの特徴です。和風だしとして活用されるものには、鰹節、昆布、煮干し、しいたけなどさまざまなものがあります。
これらのだしはそれぞれ風味が違うという特徴があります。これは含まれている旨味成分がそれぞれ違うためです。旨味とは、ただ単に料理を美味しいと感じさせる成分ではありません。甘味・酸味・塩味・苦味と併せて旨味を加えたものが五つの基本味として定義されています。
旨味の発見は、今から約100年前に日本人によって見つけられました。古くからだしをとるのに使われていた昆布からグルタミン酸を抽出したのがはじまりです。その後、鰹節の旨味成分であるイノシン酸、しいたけのグアニル酸が続々と発見され、日本の旨味の歴史はどんどん広がっていきます。
干ししいたけの旨味成分が発見されたのは1957年とごく最近のことなので、旨味の歴史はまだまだ浅く、これからの研究で明らかになる部分も多いのではないかと予想することができます。
それでは、ここでどのような食品にどんな旨味成分が含まれるのかを詳しく見ていきましょう。
・昆布…グルタミン酸
・鰹節、煮干し、鯖節…イノシン酸、グルタミン酸ペプチド
・干し椎茸…グアニル酸
家庭で洋食を作るときに使われるコンソメや、中華料理に使われる鶏がらスープの素は、それぞれのだしを濃縮して簡単に家庭で味を再現できるようにしたものです。外国では、セロリやパセリなどの香草や牛・豚・鶏の骨などを使っただしなどさまざまなものがあります。
食材それぞれが持つ旨味成分は異なりますが、それぞれ単独で使った方がよいというわけではありません。むしろ旨味には相乗効果があり、旨味の種類は異なるものをかけ合わせて使った方が料理を美味しく仕上げることができます。
例えば、日本では合わせだしとして定番の鰹節と昆布でとるだしは、イノシン酸とグルタミン酸の二つの旨味を含むことになります。昆布に含まれるグルタミン酸はアミノ酸系の旨味成分で、鰹節や干し椎茸に含まれる旨味は核酸系の旨味成分です。アミノ酸系と核酸系をかけ合せると相乗効果を得られるので、だしとして使用するときは昆布と鰹節、または昆布と干し椎茸とするのがオススメといえるでしょう。
日本のおいしい水で取るうまみたっぷりのだしを味わおう!
さらに、日本は山と海が恵んでくれる豊富な食材のおかげで、美味しい和風だしを日常的に味わうことができます。美味しい水と旨味たっぷりのだしを味わうことができる日本ならではの魅力を、心を込めて作った和食から改めて感じてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:片村優美
大学卒業後、管理栄養士免許取得。
2つの病院に勤務し、糖尿病や高血圧、腎臓病などの様々な疾患で悩まれる患者様に対して栄養指導などを行ってきました。
現在は、レシピ開発や健康・ダイエットに関するコラム執筆などのお仕事を行っています。